「福島問題」についてのドイツ人大学生の意見

ボッヘム大学、修士課程での「福島問題」についてのドイツ人大学生の意見を濱口先生がまとめたものです。ドイツ学生の見識の確かさ、そこまで日本を知っているのかと驚嘆しました。

 

ゼミ名称:Analysen energiepolitischer Netzwerke in Japan: Der Fall Fukushima

講師:Makiko Hamaguchi-Klenner (Ruhr Universität-Bochum, Politikostasien) 

1.何故福島原発事故が起こったか? 

 

A.  Arroganz 専門家とエリートの傲慢から:絶対に安全」と語っていた.自然の力を過小評価していた.また、国民も専門家を頼り、無知で無意識だった.危険を予測したくないという心情も働いていた.


B. Bürokratie 官僚の倫理の下落から:安全よりコストを重んじ 「機械の老朽化」と「検査期間の延長(40年まで)」を許した.「天下り」などのキャリアと金儲けに目がくらみ、仕事を果たさなかった.事故後も情報を隠した.

 

C.  Connection 「原子力村のコネ」がゆえに、政治は大手企業の利益を反映した. 電力ロビーが政治を独占していた。彼らは「安全神話」と「原子力の平和利用」を宣伝し、都合の悪い情報を隠し、反対意見を意図的に抑圧した。従ってドイツのような「緑の党」は生まれなかった.多くの政治家や学者には「欲」があった。「ナイーブ」か「愚か」であったかもしれない.

 

2.福島事故で日本の政治はどう変わたっか? 

 

D.   Demokratie 民主主義政策形成過程が後退した    

 

H.  Herrschaft des Volkes 民主党が人気をなくし、首相の政治的権限が低下した。自民党が国民20%の投票で復活 、ねじれ国会がなくなったので、自民党の政策が通りやすくなった.しかし、政治制度そのものは変わっていない.

 

O.  Öffentlichkeit   原発が政治テーマとなった。国民の意識も変化し、脱原発派が増えた.しかし、同時に原発推進派もつよくなり、この二つの勢力が妥協できないでいる. 

      

P.  Partizipation   デモなどの国民の政治参加が盛んになったが、「緑の党」は日本では根付かないだろう.

 

E.  Effizienz  脱原発派の運動は専門的すぎて一般国民はついていけないかもしれない。また、専門家/エリートたちはまとまって行動していないようだ。

 

E.   Economy  財政危機や中国との摩擦もあって経済は更に打撃を受けた. 経済を立て直すことが優先されて、「福島」という政治問題、とくに福島に住む人々のことが忘れられるようになった.もともと日本人は経済を人より重視する傾向があったが、それがもっと強くなった。

 

F.   Fame    日本は政治的、経済的、社会的そして技術的打撃によって国際社会におけるイメージを悪化させた。(PEST 分析による)

 

3. 福島」を機会に日本はどう変わるべきか? 

 

G.   Globalize   放射性物質の国際基準に従うべきだ.内向きな傾向から世界に目をむけ、再生可能エネルギーについて外国と意見を交換するべきだ.他国の経験から学び、もっと環境の専門家の意見に耳を貸し、ウラン発掘時の放射能、事故防止対策、ゴミの処理問題などを国際レベルで考えるべきだ.また、原発を推進することは本当に世界にとっていいことか考えるべきだ.日本が再生可能なエネルギーを開発した方が世界にもっと貢献できるかもしれないし、かえってコストの面でも日本の国益になるかもしれない.次の世代のことも考え、若い人の政治参加を促進するべきだ.日本は徐々に再生可能エネルギーに投資し、脱原発に向かうべきだ.

 

H.  History   広島と長崎を経験している被爆国日本は歴史的視点に立ち、原発を見直す必要がある。日本が原子爆弾をもつ可能性があることは日本のアジアにおける安全保障にとっても有利じゃない。マスコミは正しい報道をする義務がある.

 

I. Industrial Structure  ドイツのように、使用者団体がエネルギーの転換を行う工業構造を構築するべきだ.また、大手電気会社の系列を見直して、民間が参加する構造にする。 また、3Kをやくざや下請などの派遣労働者に任せてきたシステムを修正する.このために、安全基準を見直し、検査員と会社をはっきりわけ、労働基準、賃金水準を規定しなければならない.その上、中央と地方の分業も是正しなければならない。