大飯原発の運転差し止め 福井地裁「危険あれば当然」

東京電力福島第1原発事故後、安全性の保証をせずに大飯原発3、4号機(福井県おおい町)を再稼働させたとして、福井県の住民らが関西電力を相手取り運転差し止めを求めた訴訟で、福井地裁(樋口英明裁判長)は21日、現在定期検査中の2基を「運転してはならない」と命じ、再稼働を認めない判決を言い渡した。東日本大震災に伴う福島事故後、原発の差し止めを認める判決は初めて。樋口裁判長は「危険性があれば、運転差し止めは当然」と述べた。

 

大飯原発3、4号機の運転差し止めを求めた訴訟の判決で、「差し止め 認める」と書かれた垂れ幕を掲げる弁護士(21日午後、福井地裁前)=共同
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大飯原発3、4号機の運転差し止めを求めた訴訟の判決で、「差し止め 認める」と書かれた垂れ幕を掲げる弁護士(21日午後、福井地裁前)=共同

 運転再開を決定した当時の民主党政権の判断が否定されるとともに、その後に事実上追認した原子力規制委員会の姿勢も問われる。関電が再稼働を目指し規制委で審査中の3、4号機だけでなく、各原発の審査にも影響を与えそうだ。

 菅義偉官房長官は同日の記者会見で、規制基準に適合すると認められた場合には、再稼働を進める政府方針に変わりはないとの認識を示した。関電は速やかに控訴するとしている。

 樋口裁判長は「原発は社会的に重要だが、電気を生み出す一手段にすぎず、人格権より劣位にある」と指摘した上で「具体的な危険性があれば、運転が差し止められるのは当然」と述べた。「福島事故では250キロ圏内の住民への避難勧告が検討された」ことを根拠に、原告189人のうち250キロ圏内の166人の請求を認めた。

 原発差し止め訴訟で住民側が勝訴したのは、金沢地裁が2006年、北陸電力志賀原発2号機(石川県志賀町)の運転停止を命じた判決(名古屋高裁金沢支部で逆転、確定)に次いで2例目。

 福島事故の影響で、国内の全原発停止後、12年6月に民主党政権が大飯3、4号機の再稼働を決定し、2基は同年8月に営業運転を再開。提訴時の同年11月には稼働しており、昨年9月に定検で停止した。関電は再稼働に向け、規制委に審査を申請し、昨年7月に施行された新しい規制基準に基づき審査が続いている。

 関電が想定した「基準地震動」(耐震設計の目安となる地震の揺れ)より大きい地震動が発生し、施設に影響を与えるかや、災害時の過酷事故対策が十分に講じられているかなどが争点だった。[共同]

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2103N_R20C14A5000000/